【ランチェスターの法則】ビジネスを優位にするための戦略とは??

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ランチェスターの法則は、戦闘における双方の力関係を数値化した軍事法則です。ランチェスターの法則は、ビジネスにおいて活用できます。ビジネスを優位に進めるための方法を紹介しています。


目次
1. ランチェスターの法則
2. ビジネスでの活用
3. まとめ


ランチェスターの法則

ランチェスターの法則とは

イギリスの航空工学エンジニアであるフレデリック・W・ランチェスター氏が提唱した「軍事法則」です。第1次世界大戦の勃発により、ランチェスター氏は戦闘における双方の力関係を数値化しました。

ランチェスターの法則には、第1法則と第2法則があります。

第1法則

戦闘方法
刀剣や槍で戦う古典的な戦闘

特徴
1対1・・・接近戦・局地戦

戦闘力計算式
戦闘力=兵力数×武器性能

第2法則

戦闘方法
銃器や戦闘機で戦う近代的な戦闘

特徴
1対多数・・・遠隔戦・広域戦

戦闘力計算式
戦闘力=兵力数の2乗×武器性能

第2法則の戦闘力で「兵力数の2乗」となる理由

第2法則は、確率的に攻撃する確率戦になるからです。

例えば、A軍10人、B軍5人による銃撃戦(確率戦)の場合

A軍の攻撃量
B軍5人に対して1/5の確率で当てる攻撃をA軍10人で行う = 1/5×10

B軍の攻撃量
A軍10人に対して1/10の確率で当てる攻撃をB軍5人で行う =1/10×5

A軍の攻撃量:B軍の攻撃量
=1/5×10:1/10×5
=10/5:5/10
=100/50:25/50
=100:25
=10の2乗:5の2乗

第1法則と第2法則を比較すると・・・

第2法則では兵力数が大きい方が圧倒的に有利

特に第2法則では、戦闘力を「兵力数の2乗」を使って導き出すので、兵力数が大きい方が圧倒的に有利になります。

結果として、第2法則は兵力数が大きい強者のための戦略となり、第1法則は兵力数の小さい弱者のための戦略となります。

第1法則=兵力数の小さい弱者のための戦略

兵力数の小さい方は、山の険しい所や森の深い所などの局地を戦場にする必要があります。そのような場所では、敵は大軍で動きづらくなり、敵から包囲されにくくなり、1対1の一騎打ちに持ち込むことが期待できます。

第2法則=兵力数が大きい強者のための戦略

兵力数が大きい方は、見通しの良い平地などを戦場にして、攻撃の確率を高める必要があります。


それでは、ランチェスターの法則(軍事法則)をビジネスで活用する方法を見ていきましょう。

ビジネスでの活用「ランチェスター戦略」

ランチェスターの法則で、「弱者の戦略」と「強者の戦略」が導き出されました。ランチェスター戦略は、ランチェスターの法則(軍事法則)を「弱者」と「強者」の視点からビジネスに置き換えた戦略です。

ビジネスにおける「弱者」と「強者」

弱者=市場シェア2位以下

強者=市場シェア1位

シェアの順位(弱者・強者)は、商品・地域・顧客・流通などによって異なってきます。それぞれにおいて、「弱者の戦略」か「強者の戦略」を使っていく必要があります。

ビジネスにおける「兵力数」と「武器性能」

兵力数=量的な経営資源(人、モノ、金、情報など)
社員数、販売員数、営業地域数、商品数、製造ライン数、売り場面積、資金力など

武器性能=質的な経営資源(人、モノ、金、情報など)
商品の質、サービスの質、集客技術、販売技術、開発・製造技術など

それでは次に、ビジネスにおける弱者の戦略、強者の戦略とはどういうものなのかを見ていきましょう。

ビジネスにおける「弱者の戦略」=第1法則の戦略

弱者の採用する戦略
第1法則の戦略

特徴
1対1・・・接近戦・局地戦

競争力計算式
競争力=量的な経営資源×質的な経営資源

一点集中

商品・顧客・地域・流通などにおいて、局地戦で一点集中することが大事です。

差別化

局地戦でニッチ市場を狙い、差別化することが大事です。競合数が少ない市場で、1対1の一騎打ちに持ち込むことが必要です。

足下(そっか)の敵攻撃

足下の敵とは、市場シェアで1つ下の順位にいる競合になります。上位の競合を攻撃するのではなく、下位の足下の敵を攻撃した方が勝算は高いといえます。足下の敵を攻撃することが大切です。

陽動作戦

局地戦で競合が予測できない意外な行動、秘密裏な行動で競合の判断を惑わせることが大切です。

ビジネスにおける「強者の戦略」=第2法則の戦略

強者の採用する戦略
第2法則の戦略

特徴
1対多数・・・遠隔戦・広域戦

競争力計算式
競争力=量的な経営資源の2乗×質的な経営資源

全体網羅

商品・顧客・地域・流通などにおいて、広域戦で全体を網羅することが大事です。
例えば、テレビCMなど大規模な宣伝広告、多くの代理店の活用などは、広域戦の方法の一部になります。

同質化

広域戦で競合の真似をするミート戦略を行い、競合が差別化したものを同質化することが大事です。

包囲攻撃

広域戦で競合を包囲して攻撃することが大切です。
企業買収は、包囲攻撃の一つといえます。

誘導作戦

競合をおびき出すことが大切です。
例えば、価格競争によって競合を同じ土俵に誘導することで、強者として有利な状況に持ち込むことができます。


いかがでしょうか。「弱者の戦略」「強者の戦略」を使い分けて、ビジネスを優位に進めていきましょう。

まとめ

■ランチェスターの法則

・ランチェスターの法則とは、イギリスの航空工学エンジニアであるフレデリック・W・ランチェスター氏が提唱した「軍事法則」です。

ランチェスターの法則には、第1法則と第2法則があります。
第1法則
--- 戦闘方法 ---
刀剣や槍で戦う古典的な戦闘
--- 特徴 ---
1対1・・・接近戦・局地戦
--- 戦闘力計算式 ---
戦闘力=兵力数×武器性能

第2法則
--- 戦闘方法 ---
銃器や戦闘機で戦う近代的な戦闘
--- 特徴 ---
1対多数・・・遠隔戦・広域戦
--- 戦闘力計算式 ---
戦闘力=兵力数の2乗×武器性能

・特に第2法則では、戦闘力を「兵力数の2乗」を使って導き出すので、兵力数が大きい方が圧倒的に有利になります。

・第2法則は兵力数が大きい強者のための戦略となり、第1法則は兵力数の小さい弱者のための戦略となります。

■ビジネスでの活用「ランチェスター戦略」

ビジネスにおける「弱者」と「強者」
弱者=市場シェア2位以下
強者=市場シェア1位

ビジネスにおける「兵力数」と「武器性能」 
兵力数=量的な経営資源(人、モノ、金、情報など)
武器性能=質的な経営資源(人、モノ、金、情報など)

ビジネスにおける「弱者の戦略」=第1法則の戦略 
--- 弱者の採用する戦略 ---
第1法則の戦略
--- 特徴 ---
1対1・・・接近戦・局地戦
--- 競争力計算式 ---
競争力=量的な経営資源×質的な経営資源
・一点集中
・差別化
・足下(そっか)の敵攻撃
・陽動作戦

ビジネスにおける「強者の戦略」=第2法則の戦略
--- 強者の採用する戦略 ---
第2法則の戦略
--- 特徴 ---
1対多数・・・遠隔戦・広域戦
--- 競争力計算式 ---
競争力=量的な経営資源の2乗×質的な経営資源
・全体網羅
・同質化
・包囲攻撃
・誘導作戦